未経験からの転職に、法律上の年齢の上限はありません。募集・採用の年齢制限は、労働施策総合推進法で原則として禁止されています。
ただし実態として、年代が上がるほど転職の起きる頻度は下がり、求められる要件も変わります。年齢ではなく「何を持ち込めるか」の説明力で結果が変わる、というのが実務的な結論です。
本記事は、厚生労働省のデータをもとに年代別の傾向、未経験でも通る3条件、書類と面接の伝え方を整理します。30代・40代の女性が管理職を目指す道筋は30代・40代女性向けの管理職チャレンジ5ステップで扱っており、本記事は年齢・性別を問わない一般戦略です。
- 募集・採用の年齢制限は法律で原則禁止。年齢だけで不可にはならない
- 転職入職率は19歳以下を除くと25〜29歳が最も高く男性15.1%・女性16.8%、50代前半は男性5.1%
- 転職後に賃金が増えた人の割合は45〜49歳でも46.4%(未経験に限らない転職者全体の数値)
- 2024年4月から求人の明示事項に「業務・就業の場所の変更の範囲」などが追加され、入社後の幅を求人票で確認できる
- 鍵は「持ち運べるスキルの翻訳」「募集側の構造的理由」「着手済みの学習実績」
- 業界と職種を同時に変えるほど難易度は上がり、片方だけを変える設計が現実的
未経験の転職は何歳まで可能?年代別の傾向をデータで確認
年齢の上限を定めた法律はなく、何歳でも応募できます。ただし転職入職率(在籍者に占める転職者の割合)は、19歳以下を除けば20代後半が最も高い水準です。そこから50代前半にかけて、おおむね低下していきます(階級によっては前の階級を上回る箇所もあります)。
厚生労働省の雇用動向調査による2024年の数値です。
| 年齢階級 | 転職入職率(男性) | 転職入職率(女性) | 転職後に賃金が増加した割合 |
|---|---|---|---|
| 20〜24歳 | 13.4% | 14.3% | 50.5% |
| 25〜29歳 | 15.1% | 16.8% | 46.3% |
| 30〜34歳 | 10.3% | 13.2% | 46.1% |
| 35〜39歳 | 7.9% | 10.5% | 45.5% |
| 40〜44歳 | 6.8% | 10.2% | 45.9% |
| 45〜49歳 | 6.0% | 10.7% | 46.4% |
| 50〜54歳 | 5.1% | 8.2% | 39.0% |
| 55〜59歳 | 5.4% | 7.6% | 27.4% |
出典:厚生労働省「令和6年 雇用動向調査結果の概要」・参照日2026年8月8日
※上表は現役世代の比較のため、20〜24歳から55〜59歳までを掲載しています。19歳以下は男性20.8%・女性20.4%と、全年齢階級で最も高い値です。ただし在職期間が短く母集団の性格が異なるため、上表では省略しました。同調査では60〜64歳が男性10.0%・女性7.7%と再び上昇しますが、これは定年後の再就職を多く含むためです。
転職入職率は19歳以下を除くと25〜29歳が最も高く、その後はおおむね下がっていきます。一方で賃金が増えた人の割合は、45〜49歳(46.4%)でも25〜29歳(46.3%)とほぼ同水準です。
なお賃金変動の数値は転職入職者全体の集計で、未経験・異職種の転職に限定したものではありません。同一職種内の転職も含む点にご注意ください。
また転職入職率は、常用労働者数に対する転職入職者(前職のある入職者)の割合です。転職が起きた頻度を示す指標であり、選考の合否率を表す数値ではありません。
なぜ年齢だけで不可にならないのか?法律上の位置づけ
労働施策総合推進法第9条が、募集・採用で年齢にかかわりない均等な機会の確保を事業主に義務づけているためです。
合理的な理由なく求人票に年齢制限を書くことは認められません(出典:e-Gov法令検索「労働施策総合推進法」第9条・参照日2026年8月8日)。
ただし同法施行規則第1条の3第1項に、限定的な例外事由が6類型列挙されています。前半の4つは、定年年齢を下回ることを条件とする場合、法令で年齢制限がある業務、長期勤続によるキャリア形成、技能等の継承です。残る2つは、芸術・芸能分野の表現の真実性等が要請される場合と、雇用促進を目的とする場合です。後者には、60歳以上の高年齢者の雇用を促進する場合と、特定の年齢層の雇用促進に係る国の施策を活用する場合が含まれます(同項3号ニ)。求職者が知っておきたいのは次の2点です。
- 長期勤続によるキャリア形成を図る目的で、若年者等を期間の定めのない労働契約で募集する場合は、年齢の上限を設定できる(同項3号イ)
- この例外を使う求人は職業経験を問わないことが条件で、未経験歓迎の若手向け求人が該当しやすい
「35歳以下・未経験歓迎」の求人自体は、直ちに違法とは限りません。上記の例外に当たる場合があるためです。なお例外を用いる場合でも、事業主は職務内容や必要な適性・能力・経験等をできる限り明示することとされています(同条2項)(出典:e-Gov法令検索「労働施策総合推進法施行規則」第1条の3・参照日2026年8月8日/参考:厚生労働省 栃木労働局のリーフレット)。該当の判断は事案ごとに異なるため、疑問があればハローワークや労働局の窓口、専門家にご確認ください。
求人票と応募時に確認したい記載事項
年齢の記載以外にも、2024年4月1日から明示が義務づけられた項目があります。未経験で入社したあとの配属や契約の見通しが読み取れるため、求人票では次の欄を確認します。
職業安定法施行規則の改正により、2024年4月1日以降、明示事項が追加されました。対象は、労働者の募集や求人の申込みの際に明示する事項です。追加されたのは次の3項目です(職業安定法第5条の3第4項、同法施行規則第4条の2第3項)。
- 従事すべき業務の変更の範囲
- 就業の場所の変更の範囲
- 有期労働契約を更新する場合の基準に関する事項(通算契約期間又は更新回数の上限を含む)
ここでいう「変更の範囲」は、雇入れ直後の内容にとどまらず、将来の配置転換なども含めた契約期間中の変更の範囲を指します。未経験の応募では、入社時の担当業務だけでなくこの欄を読むと、数年後に任される可能性のある業務や勤務地の幅まで見通せます(出典:厚生労働省「令和6年4月からの職業安定法施行規則の改正内容」・同リーフレット・参照日2026年8月8日)。
採用が決まったあとの労働条件の明示は、別のルールです。労働基準法第15条と同法施行規則第5条により、次の事項は原則として書面の交付で明示されます。労働者が希望した場合は、FAXや電子メール等での明示も認められています。
- 契約期間
- 有期労働契約を更新する場合の基準
- 就業の場所・従事すべき業務(いずれも変更の範囲を含む)
- 始業終業の時刻や休日
- 賃金(昇給に関する事項を除く)
- 退職に関する事項
一方、退職手当や賞与などは口頭でも足ります。書面で確認できる範囲を知っておくと、確認漏れを防げます(出典:e-Gov法令検索「労働基準法」・同施行規則・参照日2026年8月8日)。
応募時に提出する個人情報の扱いにもルールがあります。職業安定法第5条の5は、求人者や募集を行う者などに個人情報の取扱いを定めています。求職者の個人情報は、業務の目的の達成に必要な範囲内で、その目的を明らかにして収集します。収集した個人情報は、収集の目的の範囲内で保管・使用しなければなりません。あわせて個人情報保護法第21条第2項のルールもあります。応募フォームや書面で本人から直接取得する場合は、あらかじめ利用目的を明示する必要があります。応募先の利用目的の記載が見当たらない場合は、提出前に確認して差し支えありません(出典:e-Gov法令検索「職業安定法」・「個人情報の保護に関する法律」・参照日2026年8月8日)。
未経験でも選考を通過しやすい3つの条件とは?
未経験の応募で説明の材料になるのは、「持ち運べるスキルの翻訳」「募集側の構造的な理由」「着手済みの学習実績」の3つです。
以下の3点は、求人票の応募要件と採用担当者が重視する記載内容からVia Nova編集部が整理した実務上の観点です。選考通過率を測定した統計ではありません。
条件1:持ち運べるスキルを応募先の言葉に翻訳できている
評価されるのは、業界を越えて通用する持ち運べるスキルです。数値の管理、段取り、折衝、教育、改善提案などが該当します。
大切なのは、応募先の言葉に置き換えることです。小売店の店長が生産管理職に応募するなら、「売場の在庫管理」を「日次の在庫確認と欠品率の抑制」と言い換えます。
条件2:募集側に未経験者を採る構造的な理由がある
企業が未経験者を採用するのは、善意ではなく事情があるからです。代表例が人手不足です。
帝国データバンクの調査では、正社員が不足していると感じる企業は50.6%でした。全国2万3,083社を対象に実施し、1万538社が回答した2026年4月時点の調査です(出典:帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2026年4月)」・参照日2026年8月8日)。この数値は企業の人手不足感を示すもので、未経験者の採用可否を直接示すものではありません。
条件3:学習や実践に着手した実績がある
意欲は、行動の記録があって初めて伝わります。資格の勉強、独学の成果物、社内での他部署応援など、着手済みの事実を1つ示せると説得力が出ます。
合格や完成は必須ではなく、「学科試験を10月に受験予定」でも材料になります。
業界・職種を変える難易度はどう変わる?
業界と職種のどちらを変えるかで難易度は変わり、両方を同時に変える場合が最も高くなります。
下表は、求人票の応募要件の傾向をVia Nova編集部が整理した目安です。統計調査の結果ではありません。
| 変えるもの | 難易度の目安 | 評価される材料 | 例 |
|---|---|---|---|
| 業界だけ変える | 低め | 職種の実務経験がそのまま通用 | 建設会社の経理 → 医療法人の経理 |
| 職種だけ変える | 中 | 業界知識・商習慣・用語の理解 | 物流会社の運転職 → 同業の運行管理 |
| 両方を変える | 高め | 持ち運べるスキルと学習実績 | 飲食店の接客 → IT企業のサポート職 |
| 職種内で領域を広げる | 低い | 隣接業務の担当経験 | 法人営業 → 同業界の営業企画 |
年代が上がるほど、両方を同時に変える設計は説明の負荷が増えます。年収の見通しは職種ごとの水準を先に確認します。職種別の動きは直近10年の職種別平均年収の推移で整理しています。
年代別の戦略はどう立てる?20代・30代・40代以降
20代は選択肢の広さ、30代は片方だけを変える設計、40代以降は持ち込む価値の明示が軸になります。
20代:職種転換の自由度が最も高い時期
20代は、法律の例外規定により「若年者・未経験歓迎」の求人が正面から存在する年代です。母集団が最も広く、業界と職種を同時に変える選択も現実的です。
転職入職率も、19歳以下を除くと25〜29歳が最も高く、男性15.1%・女性16.8%です。ただし短期離職が続くと志望動機の一貫性を問われるため、方向転換の理由を1本の線で語れるよう整えます。
30代:業界か職種の「片方だけ」を変える設計が現実的
30代は実務経験が評価される一方、完全な未経験枠は絞られます。30〜34歳の転職入職率は男性10.3%・女性13.2%です。
現実的なのは、職種を軸に業界を変えるか、業界にとどまり隣接職種へ移る設計です。30〜34歳では46.1%が前職より賃金が増えており、年収を下げずに動ける余地はあります。
40代以降:未経験より「持ち込む価値」で判断される
40代以降は、未経験かどうかより、組織に何を持ち込めるかが問われます。マネジメント、業務改善、取引先との関係構築が具体例です。
市場環境には追い風の面もあります。エン株式会社が運営する転職サイト『ミドルの転職』が、同サイトを利用する転職コンサルタント170名に調査を行っています。その結果、81%が2026年は35歳以上のミドル人材を対象とした求人が「増加すると思う」と回答しました(出典:エン株式会社「2026年ミドルの求人動向」調査・参照日2026年8月8日)。
マイナビの調査でも、40代の転職率は上昇が続いています。2025年に転職した40代の転職率は6.8%で、前年比+0.7ポイントでした。調査は、全国の正社員として働く20〜50代の男女2万名を対象としたインターネット調査です。これは調査対象者のうち1年間に転職した人の割合です。事業所を対象とする上表の転職入職率(厚生労働省・2024年)とは、調査主体も定義も異なります(出典:マイナビ「転職動向調査2026年版(2025年実績)速報」・参照日2026年8月8日)。
ただし賃金は年代で差が出ます。増加した割合は45〜49歳で46.4%、55〜59歳では27.4%です。探し方は転職エージェントと自己応募の比較を参考に、併用から考えます。
応募書類と面接では未経験をどう伝える?
「持ち込める経験」「応募先での再現方法」「着手済みの学習」の順で語ると具体性が伝わります。
職務経歴書では、職務要約の冒頭2〜3行に持ち込める経験を先に書きます。全体の構成は採用担当者に刺さる職務経歴書の書き方で確認できます。
例えば、飲食店の店長からIT企業のサポート職に応募する方を考えます。職務要約の冒頭に「スタッフ15名のシフト設計と月次の売上・原価管理を3年間担当」と書きます。その直後に「問い合わせ対応の一次受けと引き継ぎ手順の整備に同じ進め方を使える」と1行添えます。未経験でも、読み手が入社後の働き方を想像できる書類になります。
避けたいのは、時系列の職歴を並べただけで応募先との接点が書かれていない書類です。未経験の応募では、経験の量よりも「どの経験が応募先のどの業務につながるか」の対応づけが読まれます。志望動機も、興味の表明ではなく、この対応づけの続きとして書くと具体性が出ます。
面接では、転職理由の伝え方が分かれ目です。厚生労働省の調査では、令和6年(2024年)の転職入職者について、前職を辞めた理由別の割合が集計されています。原典は男性について、内容の特定できない2項目を除いた比較を示しています。除いているのは「その他の個人的理由」20.2%と「その他の理由(出向等を含む)」13.5%です。これらを除くと「定年・契約期間の満了」14.1%が最も多い項目になります。ただし定年や契約期間の満了は、本人の希望で前職を辞めた理由ではありません。面接での言い換えを考える本記事では、この項目もあわせて除いて比較します。残る項目で最も多いのは、男性が「給料等収入が少なかった」10.1%です。女性は「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」12.8%でした。原典でも、女性は「その他の個人的理由」24.3%を除くとこの項目が最も多いとされています(出典:厚生労働省「令和6年 雇用動向調査結果の概要」表5・参照日2026年8月8日)。
不満が出発点であること自体は珍しくありません。面接では不満をそのまま述べず、次の3ステップで応募先の業務へ接続します。
- 持ち込める経験を1つに絞って先に述べる(例:3年間、月次の原価集計を担当)
- 応募先の業務でどう再現するかを述べる(例:受注別の採算管理に同じ手順を使える)
- 不足分への着手済みの行動を述べる(例:基礎資格を10月に受験予定)
避けたいのは、意欲だけを繰り返す説明と、年齢を自ら不利な条件として持ち出す説明です。
よくある質問
未経験の転職に年齢の上限はありますか?
法律上の上限はありません。労働施策総合推進法第9条により、募集・採用では年齢にかかわりない均等な機会の確保が原則として義務づけられています。ただし年代が上がるほど求人の要件は変わります。
求人票に「35歳以下」と書かれているのは違法ですか?
一律に違法とは限りません。労働施策総合推進法施行規則第1条の3第1項に、限定的な例外が定められています。例えば、長期勤続によるキャリア形成を目的として、職業経験を問わず期間の定めのない労働契約で募集する場合です。該当の判断は事案により異なるため、ハローワークや労働局の窓口にご確認ください。
40代で業界と職種の両方を変えるのは難しいですか?
片方だけを変える場合に比べ、説明の負荷は上がります。持ち運べるスキルと学習実績の両方を示せるかが分かれ目です。まず片方だけを変えて実務経験を作り、数年後にもう片方を変える二段階の設計も選択肢です。
未経験の転職では年収が下がりますか?
必ず下がるとは限りません。厚生労働省の2024年の調査では、転職入職者のうち前職より賃金が増加した割合は全体で40.5%、45〜49歳でも46.4%でした(55〜59歳は27.4%)。ただしこれは未経験者に限らない転職入職者全体の数値で、同じ職種・業界での転職も含みます。未経験の転職に限れば下振れする可能性があります。
未経験可の求人はどう探せばよいですか?
求人票の記載が手がかりです。「育成前提」「入社後研修あり」「資格取得支援」といった表現がある求人は、未経験者の受け入れを想定している可能性があります。あわせて、2024年4月から明示が義務づけられた「従事すべき業務の変更の範囲」「就業の場所の変更の範囲」の欄を読むと、入社後に任される業務の幅を確認できます。なお正社員が不足していると感じる企業は50.6%です(帝国データバンク・2026年4月、全国1万538社の回答)。
まとめ|年齢ではなく「持ち込める経験」から決める
未経験の転職で結果を分けるのは、年齢ではなく、持ち込める経験を言語化できているかどうかです。転職の起きる頻度は年代とともにおおむね下がる一方、賃金が増えた人の割合(転職入職者全体)は40代後半でも25〜29歳とほぼ同水準です。
参照した統計・法令は本文中にリンクで明示しています(参照日:2026年8月8日)。執筆・編集:Via Nova編集部。法令の個別解釈は専門家にご確認ください。
まずは自分の強みと向いている仕事の傾向を確かめ、業界と職種のどちらを変えるかを決めましょう。Via Novaの求職者向けページに、自己分析・求人検索・キャリア相談の入口をまとめています。求職者の方の費用は0円で、公開中の求人は18,000件以上です。
自己分析には「TekiLens|適レンズ」の個人向け(TekiLens Personal)を使えます。選択式72問・所要約15分で、現時点では料金はかかりません。登録・ログインや氏名の入力は不要で、満18歳以上の個人利用が対象です。合否を判定するものではなく、働き方に関する9つの観点で傾向を振り返るための適性分析サービスです。TekiLens自体は職業紹介・求人紹介や求職者のあっせんを行うものではありません(求人のご紹介は合同会社Via Novaの有料職業紹介事業として別に承ります)。
なお、ご希望の条件によってはご紹介できる求人がない場合があります。相談をご希望の方は個人向けお問い合わせフォーム(「キャリア相談・転職相談」を選択)からご連絡ください。
公開日:2026年8月17日/最終更新日:2026年8月17日
合同会社Via Nova(有料職業紹介事業許可番号:14-ユ-302463)

