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直近10年の職種別平均年収の推移を徹底分析|伸びる職種・停滞する職種はどこか

2026 5/22
キャリアアップ
2026年3月14日2026年5月22日
全体平均年収の推移(2014〜2024年)

「自分の年収は平均と比べてどうなのか」「今後伸びる職種に転職すべきか」と悩んでいませんか。
本記事では、厚生労働省や国税庁の公的統計データをもとに、直近10年間の職種別・業種別の平均年収推移をグラフ付きで解説します。
人材業界で採用支援に携わってきた筆者が、データに基づいた客観的な分析と今後の展望をお伝えします。


目次

全体平均年収の推移:2024年は過去最高の478万円

まず、日本全体の平均年収の推移を確認します。

国税庁「民間給与実態統計調査」(2024年9月公表)によると、2024年の給与所得者の平均年収は478万円でした。
これは統計開始以来の過去最高額であり、前年比で約3.9%の増加です。

全体平均年収の推移(2014〜2024年)
全体平均年収の推移(2014〜2024年)

出典:国税庁「民間給与実態統計調査」各年版

2014年の415万円から2024年の478万円へ、10年間で63万円(約15.2%)増加しています。
特に2022年以降の伸びが顕著であり、2022年に458万円、2023年に460万円、2024年に478万円と〃直近2年で一気に加速しました。

厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(2025年3月公表)でも、2024年の一般労働者の平均月収は332,200円と前年比3.7%増を記録しています。
この伸び率は1991年以来、約33年ぶりの高水準です。

背景には、2024年春闘での賃上げ率5.10%、2025年春闘での5.25%という、34年ぶりの高水準の賃上げが影響しています(日本労働組合総連合会の集計による)。


業種別にみる年収格差:最大553万円の開き

業種によって平均年収には大きな差があります。
国税庁「民間給与実態統計調査」(2024年)のデータを見てみましょう。

業種別 平均年収ランキング(2024年)
業種別 平均年収ランキング(2024年)

出典:国税庁「民間給与実態統計調査」(2024年)

最も平均年収が高い「電気・ガス・水道」業界の832万円に対し、最も低い「宿泊・飲食」業界は279万円と、
その差は553万円にのぼります。

上位3業種の特徴として、電気・ガス・水道(832万円)はインフラ系で安定した収益構造を持ち、
金融・保険(702万円)は専門知識が求められる高付加価値産業、情報通信(660万円)はDX需要の拡大により人材獲得競争が激化していることが挙げられます。


職種別の年収推移:IT職種が突出して成長

ここからは、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」の各年データをもとに、主要6職種の平均年収推移を比較します。

主要職種別 平均年収の推移(2015〜2024年)
主要職種別 平均年収の推移(2015〜2024年)

出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」各年版をもとに筆者概算

伸びが大きい職種

SE・ITエンジニアは、2015年の約530万円から2024年の約685万円へと、10年間で約29%増加しました。DX推進やクラウド移行の需要増加により、IT人材の需給ギャップが年収を押し上げています。経済産業省「IT人材需給に関する調査」(2019年公表)では、2030年にはIT人材が最大79万人不足すると詯算されています。

介護職は、2015年の約310万円から2024年の約365万円へと、約17.7%の増加です。他職種と比べた絶対額はまだ低いものの、処遇改善加算の拡充や介護報酬改定により、着実に賃金水準が上昇しています。厚生労働省は2024年度の介護報酬改定で、介護職員の処遇改善を重点項目としています。

伸びが緩やかな職種

一般事務は、2015年の約370万円から2024年の約390万円へと、10年間で約5.4%の増加にとどまっています。RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)やAIによる業務自動化の影響で、定型的な事務作業の需要が減少傾向にあることが要因の一つと考えられます。

運転手は、2015年の約400万円から2024年の約420万円と5.0%増で、長期間にわたり年収が伸び悩んでいました。しかし2024年問題(時間外労働の上限規制適用)への対応で、直近2年間は急速に賃金が上昇しています。

主要職種の10年間年収変化率(2015→2024年)
主要職種の10年間年収変化率(2015→2024年)

出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」各年版をもとに筆者算出


ブルーカラー vs ホワイトカラー:逆転する年収の伸び率

ここ数年で注目すべき変化が起きています。従来はホワイトカラー職種のほうが高年収とされてきましたが、
ブルーカラー職種の年収伸び率がホワイトカラーを大きく上回る「逆転現象」が顕在化しています。

リクルートワークス研究所が厚生労働省「賃金構造基本統計調査」のデータを加工・分析した結果によると、
2020年から2024年にかけての4年間で、ブルーカラー系職種の年収変化率はホワイトカラー系事務職を大幅に上回りました。

ブルーカラー vs ホワイトカラー 年収変化率の比較(2020→2024年)
ブルーカラー vs ホワイトカラー 年収変化率の比較(2020→2024年)

出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」各年版をもとにリクルートワークス研究所が加工

ブルーカラー系の年収変化率(2020→2024年)

タクシー運転手が+27.3%、自動車整備・修理従事者が+22.5%、建設躯体工事従事者が+20.8%と、
いずれも全体平均の+8.1%を大きく上回っています。
特に注目すべきは、自動車整備・修理従事者(約480万円)が総合事務員(約467万円)の年収を逆転したことです。
日本経済新聞(2026年2月24日付)でも、この現象が大きく報じられました。

建設躯体工事従事者の年収は約508万円に達し、多くのホワイトカラー事務職を上回っています。
配管従事者(約492万円)やとび職(約485万円)も同様の傾向を見せています。

ホワイトカラー事務職の年収変化率

一方、総合事務員は+3.8%、一般事務員は+3.2%、会計事務員は+2.9%と、全体平均の+8.1%を下回る伸びにとどまっています。
これは物価上昇率(同期間で約8.5%)を下回る水準であり、実質的には賃金が目減りしている計算になります。

逆転の背景にある3つの要因

この逆転現象には、主に3つの構造的要因があると考えられます。

1つ目は、圧倒的な人手不足です。建設業、運輸業、製造業では有効求人倍率が慢性的に高く、企業が人材確保のために賃金を引き上げざるを得ない状況が続いています。

2つ目は、AIによる代替リスクの差です。内閣府の試算や各種研究では、事務職のAI代替可能性は60%超とされる一方、
現場作業を伴う大工・とび職は7.3%、自動車整備・修理の9.4%と極めて低い水準です。
AIが代替しにくい「身体を使う仕事」の希少価値が高まっています。

3つ目は、エッセンシャルワークの再評価です。
コロナ禍以降、社会インフラを支える現業聼の重要性が再認識され、処遇改善の流れが加速しています。


IT系職種の内訳:データサイエンティストが最高水準

IT系職種の中でもポジションによって年収には大きな差があります。

IT系職種別 平均年収(2024年)
IT系職種別 平均年収(2024年)

出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(2024年)、経済産業省「IT人材白書」

厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(2024年)によると、システムエンジニア(SE)の平均年収は約685万円、
プログラマーは約555万円です。データサイエンティストは約696万円と、IT系職種の中でも最高水準にあります。

情報処理推進機構(IPA)「DX動向2024」の調査では、DX推進に取り組む企業の62.1%が人材を「大幅に不足している」と回答しています。
この人材不足が、IT系職種全体の年収を押し上げる構造的な要因となっています。


AI時代の年収への影響:機会つ脅威の両面【筆者の考察】

ここからは、収集したデータをもとにした筆者の見解です。

AI発展がもたらす年収への二極化

内閣府「経済財政白書」(2024年公表)では、先進国においてAIに代替される可能性が高い職業に就く労働者の割合を約32%と試算しています。

筆者の見解としては、AIの普及によって年収の二極化がさらに進むと考えられます。
定型的な事務処理やデータ入力といった業務はAIによる自動化が進みやすく、これらの職種では年収の伸びが抑制される可能性があります。
一方、AIを活用・管理できる人材の市場価値は今後さらに高まるでしょう。

AIスキルと年収プレミアム

OECD「Employment Outlook 2024」によると、AIスキルを保有する労働者は同等の職務経験を持つ非保有者と比較して、
約25%の賃金プレミアムがあるとされています。

このデータから考察すると、今後のキャリア戦略においては、現在の職種に関わらず、AIリテラシーやデータ分析スキルを身につけることが年収アップの重要な要素になると考えられます。

今後の展望

筆者は、今後5年間で以下の傾向がさらに強まると予測しています。

  1. IT・デジタル人材の年収上昇は継続する:経済産業省の詯算ではIT人材不足が構造的に続くため、需要バランスによる年収上昇は2030年頃まで続く可能性が高いでしょう。
  2. 介護・医療分野も賃金改善が進む:少子高齢化に伴う人材不足と政府の処遇改善策により、緩やかながら上昇基調が続くと見込まれます。
  3. 事務聼はスキル転換が鍵となる:AIツールを使いこなせる事務人材と、従来型の作業に留まる人材との間で年収格差が広がる可能性があります。

まとめ

直近10年間の職種別平均年収を分析した結果、IT・デジタル系職種が約29%増と突出した成長を見せた一方、
一般事務や会計事務は3〜5%程度の伸びにとどまっていることがわかりました。
2024年は全体平均が478万円と過去最高を記録しましたが、業種・職種による格差は依然として大きい状況です。

特に注目すべきは、ブルーカラー職種の年収伸び率がホワイトカラー事務職を大きく上回り、自動車整備・修理従事者が総合事務員の年収を逆転するなど、
従来の「ホワイトカラー=高年収」という常識が崩れつつあることです。
人手不足とAI時代の到来が、職種間の年収構造を大きく変えています。

AI時代においては、デジタルスキルの有無に加え、AIに代替されにくい専門技術や現場スキルの価値がますます高まります。
転職や年収アップを考えている方は、自身の職種の市場動向を把握したうえで、成長分野のスキルを身につけることが効果的な戦略と言えるでしょう。

キャリアの方向性についてお悩みの方は、ぜひ Via Nova の無料キャリア相談をご活用ください。


参考文献・出典一覧

  1. 国税庁「民間給与実態統計調査」(2024年9月公表)

https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan/gaiyou/2024.htm

  1. 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(2025年3月公表)

https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2024/

  1. 経済産業省「IT人材需要に関する調査」(2019年3月公表)

https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/houkokusyo.pdf

  1. 内閣府「経済財政白書」(2024年公表)

https://www5.cao.go.jp/keizai3/whitepaper.html

  1. 情報処理推進機構(IPA)「DX動向2024」

https://www.ipa.go.jp/digital/dx-survey.html

  1. OECD「Employment Outlook 2024」

https://www.oecd.org/employment-outlook/

  1. 日本労働組合総連合会「春季生活闘争 回答集計結果」(2024年・2025年)

https://www.jtuc-rengo.or.jp/activity/roudou/shuntou/

  1. 厚生労働省「介護報酬改定について」(2024年度)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/houshu/

  1. リクルートワークス研究所「稼げる仕事の変化―二極化するブルーカラーの賃金上昇」(2026年2月公表)

https://www.works-i.com/column/labor-market/detail011.html

  1. 日本経済新聞「自動車整備工と事務聼の年収逆転 人手不足でブルーカラー賃金伸びる」(2026年2月24日)

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA19B6N0Z10C26A2000000/

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