履歴書は、職務経歴書ほど書き方の自由度がありません。書く内容はほぼ決まっており、差がつくのは正確さと整合性です。逆に言えば、型を押さえれば時間をかけずに仕上げられる書類でもあります。かけた時間に対して書ける中身が増えるのは職務経歴書の方なので、配分はそちらに寄せることをおすすめしています。
本記事では、履歴書の各欄をどう埋めるかを項目別に解説します。どの様式を使うか、学歴・職歴の書き方、資格欄に何を書くか、手書きとPCの判断、そして提出前に確認することまで整理します。職務経歴書との役割の違いも最初に整理します。
- 履歴書は「事実の確認」、職務経歴書は「実力の提案」。役割が違う
- JIS規格の解説にあった履歴書様式例は2020年7月に削除されている
- 学歴・職歴は正式名称で、和暦か西暦のどちらかに統一する
- 志望動機欄が履歴書にもある場合、職務経歴書と内容を矛盾させない
- 指定がなければPC作成でよい。厚労省の様式例もExcel版とPDF版で提供されている
履歴書と職務経歴書は何が違う?
2種類を提出する理由は、役割が違うからです。
| 履歴書 | 職務経歴書 | |
|---|---|---|
| 役割 | 事実の確認 | 実力の提案 |
| 書く内容 | 氏名・連絡先・学歴・職歴・資格など、確認できる事実 | 担当業務・実績・スキル・自己PRなど、評価してほしい中身 |
| 様式 | ほぼ定型。書式の自由度は低い | 編年体・逆編年体・キャリア式など、選べる |
| 分量 | 1〜2枚 | 1〜2枚(3枚を超えると読まれにくい) |
| 差がつく点 | 正確さ・整合性・誤字の有無 | 実績の具体性・応募先との接続 |
履歴書で評価を上げようとする必要はありません。ここで見られているのは、書かれた事実が正確か、他の書類と食い違っていないかです。アピールは職務経歴書で行います。書き方は職務経歴書の書き方で扱っています。
時間配分の目安としては、履歴書は短時間で仕上げ、残りを職務経歴書に充てる形をおすすめしています。履歴書は書く内容がほぼ決まっているため、時間をかけても書ける中身が大きく増えないためです。これは当社のキャリア相談でお伝えしている進め方であり、選考結果との関係を検証したものではありません。
どの様式を使えばいい?
市販の履歴書や、ネット上のテンプレートには様々な様式があります。ここで知っておきたいのは、長く標準とされてきたJIS規格の解説の様式例は、2020年(令和2年)7月に削除されているという点です。
これを受けて厚生労働省が新たな履歴書の様式例を作成しており、ハローワークインターネットサービスから入手できます。応募先から様式の指定がない場合、この様式例を使うのが確実です。
- 応募先から様式の指定がある——指定に従う。これが最優先
- 指定がない——厚生労働省の様式例、または応募先の業界で一般的な様式を使う
- 古いテンプレートを流用する場合——現在は様式に含まれない項目が残っていることがあるため、様式そのものを更新する
数年前に作った履歴書のファイルを使い回している場合は、この機会に様式を確認してください。項目の構成が現在の一般的なものと違うと、それだけで古い書類という印象になります。
なお、履歴書のサイズはA4とB5のどちらもあります。応募先から指定がなければA4を選んでおくと、職務経歴書と揃えられて扱いやすくなります。データで提出する場合も、両方の書類をA4に統一しておくと、受け取る側が印刷したときに揃います。
枚数は、履歴書1枚と職務経歴書1〜2枚が目安です。履歴書が2枚組の様式もありますが、その場合は2枚目まで含めて提出します。1枚目だけを送ると、記載すべき欄が抜けた書類になります。
学歴・職歴欄はどう書く?
もっとも記載ミスが起きやすい欄です。次のルールを守れば、大半のミスは防げます。
- 年号を統一する——和暦と西暦を混在させない。職務経歴書とも揃える
- 正式名称で書く——「(株)」ではなく「株式会社」。学校名も略さない
- 学歴は高校卒業から書くのが一般的——中学卒業から書く様式もあるため、行数に応じて調整する
- 職歴は入社と退職を1行ずつ——入社時に事業内容と職種を簡潔に添えると読み手に伝わりやすい
- 在籍中は「現在に至る」——最終行に記載し、次の行の右端に「以上」を入れる
- 社名変更・合併があった場合——当時の社名を書き、括弧で現社名を添える
職歴の記載で判断に迷いやすいのが、短期間で退職した職歴、派遣・契約社員の職歴、休職期間の扱いです。事実を省略しないことが原則ですが、書き方の工夫はできます。派遣であれば派遣元と派遣先の両方を書く、契約社員であれば雇用形態を明記する、といった形です。
省略すると、入社後に提出する書類や社会保険の記録との食い違いが判明する可能性があります。書きにくい経歴がある場合ほど、隠すのではなく、書いたうえで説明を用意する方が結果的に通りやすくなります。
判断に迷う職歴はどう書く?
書き方に迷いやすいパターンを整理します。共通する考え方は、事実を省略せず、補足で誤解を防ぐことです。
| パターン | 書き方 | 補足のしかた |
|---|---|---|
| 派遣社員 | 派遣元の社名を書き、派遣先を併記する | 「株式会社〇〇に派遣社員として登録/△△株式会社にて□□業務に従事」 |
| 契約社員・嘱託 | 社名の後に雇用形態を明記する | 「株式会社〇〇 入社(契約社員)」 |
| 試用期間中の退職 | 入社・退職とも記載する | 期間が短くても省略しない。理由は面接で説明する |
| アルバイト歴 | 原則は書かない。応募職種に直結する場合のみ記載 | 職歴欄が空になる場合や、業務に直結する経験がある場合は書く |
| ブランク(離職期間) | 職歴欄には期間として現れる。無理に埋めない | 療養・介護・学習など、説明できる内容があれば面接で伝える |
| 社名変更・合併 | 当時の社名で書く | 「株式会社〇〇(現・株式会社△△)」 |
| 現在も在籍中 | 最終行に「現在に至る」 | 次の行の右端に「以上」を入れる |
ブランクについては、埋めようとして曖昧な記載を足すより、期間として素直に見せた方が扱いやすくなります。理由を聞かれたときに答えられる状態にしておけば、それで足ります。
免許・資格欄には何を書く?
基本は、応募先の業務に関係するものを、取得順に書きます。
- 正式名称で書く(「英検2級」ではなく「実用英語技能検定2級」)
- 取得年月を記載する
- 応募先の求人票の応募要件・歓迎要件に挙がっているものは、必ず書く
- 業務と無関係な資格は、行数に余裕がある場合のみ
- 勉強中の資格は「取得に向けて学習中」と書ける。ただし試験日が近いものに限る方が現実的
求人票の歓迎要件に挙がっている資格を持っているのに書き忘れる、というのは実際によくある取りこぼしです。応募前に求人票の要件を書き出しておくと防げます。求人票の読み方はキャリアの棚卸しの作業とあわせて進めると効率的です。
志望動機欄と本人希望記入欄はどう埋める?
この2つは、様式によって有無が変わります。
志望動機欄がある場合
職務経歴書にも志望動機を書く場合、内容を矛盾させないことが最優先です。履歴書の欄は狭いことが多いため、職務経歴書に書いた内容の要約を入れる形で構いません。まったく別の理由を書くと、読み手はどちらが本音か判断できなくなります。
本人希望記入欄
ここは条件交渉の欄ではありません。書くのは、選考の進行に必要な情報に限ります。
- 書いてよいこと——連絡可能な時間帯、面接可能な曜日、勤務地の希望が明確にある場合(複数拠点がある企業)
- 特にない場合——「貴社の規定に従います」で問題ありません。空欄にはしない
- 避けたいこと——給与・待遇の希望をここに書くこと。条件のすり合わせは、内定後の条件提示の段階で行う方が整理しやすくなります
応募書類の準備で迷う箇所があれば、個人の方向けのお問い合わせフォームから「キャリア相談・転職相談」を選んでご相談ください。当社では書きかけの状態でのご相談も承っており、求職者の方からいただく費用は0円です。書類の準備の全体像は履歴書・職務経歴書の準備のページにまとめています。
手書きとPC、写真はどうする?
応募先から指定があればそれに従います。指定がない場合の考え方は次のとおりです。
手書きかPCか
中途採用では、応募書類をメールやフォームで受け取る運用が広く行われており、PC作成を前提とした募集が多くあります。厚生労働省の履歴書様式例もExcel版とPDF版で提供されています。修正のしやすさ、複数社への応募のしやすさを考えても、PC作成に実務上の利点があります。
ただし、業界や企業によっては手書きを求める場合があります。求人票や応募要項に「手書きで」と書かれていれば従ってください。
写真
- 3か月以内に撮影したものを使う
- 背景は無地。スナップ写真の切り抜きは避ける
- 服装は応募先の職場で違和感のないもの
- データで提出する場合、貼り付け位置とサイズがずれていないか印刷イメージで確認する
提出前に何を確認する?
履歴書で差がつくのは正確さです。提出前に次を確認してください。
- 職務経歴書との整合——在籍期間、社名、職種名が一致しているか
- 年号の統一——和暦と西暦が混在していないか
- 会社名・学校名——正式名称か。旧字体や表記の揺れがないか
- 連絡先——メールアドレスの綴り、電話番号の桁数
- 日付——提出日(郵送なら投函日、メールなら送信日)になっているか
- 空欄の有無——埋めるべき欄が空いていないか
- 印刷イメージ——文字が枠からはみ出していないか、写真がずれていないか
特に1の整合は見落とされがちです。履歴書と職務経歴書で在籍期間が1か月ずれている、といったケースは実際に起こります。両方を並べて確認してください。
誤字は、画面上で読み返しても見つかりにくいものです。一度印刷する、読み上げ機能を使う、時間をおいてから読み直すといった方法を1つ挟むと、検出率が変わります。特に社名と氏名の漢字は、間違えると印象に直結するため、原本(名刺・卒業証明書など)と照合してください。
複数社に応募している場合は、応募先の社名を書き換え忘れていないかも必ず見てください。別の会社名が残ったまま提出するのは、履歴書で起こりうる失敗のうち最も影響が大きいものです。
メールで送るときの形式は?
- 形式はPDF——WordやExcelのまま送ると、相手の環境でレイアウトが崩れることがあります
- ファイル名に氏名と書類名を入れる——「履歴書_山田太郎_20260816.pdf」のような形。受け取る側が管理しやすくなります
- 履歴書と職務経歴書は分けるか、1つにまとめるか——応募先の指定に従う。指定がなければ分けて添付するのが無難です
- 本文にも簡単な挨拶と応募職種を書く——添付だけを送らない
- 送信前に自分宛に送って確認する——添付漏れとファイル破損を防げます
送付状(添え状)は必要?
郵送の場合は同封するのが一般的です。メールの場合は、本文が送付状の役割を果たすため、別ファイルにする必要はありません。
送付状に書くのは、宛先、日付、氏名と連絡先、応募職種、同封書類の一覧、そして簡単な挨拶です。ここで志望動機を長く書く必要はありません。1枚に収め、詳細は職務経歴書に譲ります。
郵送する場合は、書類を折らずに入るサイズの封筒を使い、クリアファイルに入れてから封入します。封筒の表に「応募書類在中」と赤字で記載するのが通例です。
提出のあとは面接に進みます。転職活動全体の流れは転職準備は何から始める?7ステップ完全ガイドで、エージェントとの面談の準備は転職エージェントとの面談で何を話す?で扱っています。
よくある質問
履歴書は手書きでないと不利になりますか?
中途採用では、応募書類をメールやフォームで受け取る運用が広く行われており、PC作成を前提とした募集が多くあります。厚生労働省の履歴書様式例もExcel版とPDF版で提供されています。ただし応募先から手書きの指定がある場合は従ってください。
短期間で辞めた職歴は書かなくてもいいですか?
省略しないことをおすすめします。入社後に提出する書類や社会保険の記録との食い違いが判明する可能性があるためです。書いたうえで、退職理由の説明を用意しておく方が結果的に通りやすくなります。
職歴が多くて履歴書に収まりません。どうすればいいですか?
履歴書は入社・退職の事実を簡潔に記載し、業務の中身は職務経歴書に寄せます。それでも収まらない場合は、行数の多い様式を使うか、履歴書を2枚にします。省略はしないでください。
本人希望記入欄に給与の希望を書いてもいいですか?
この欄に書くことは避けた方が無難です。本人希望記入欄は選考の進行に必要な情報を書く欄であり、条件のすり合わせは内定後の条件提示の段階で行う方が整理しやすくなります。特に希望がなければ「貴社の規定に従います」で構いません。
古い履歴書のテンプレートを使い回してもいいですか?
様式を確認してから使ってください。JIS規格の解説にあった履歴書の様式例は2020年7月に削除されており、その後に厚生労働省が新たな様式例を作成しています。項目の構成が現在の一般的なものと違うと、書類自体が古い印象になります。
履歴書と職務経歴書で在籍期間が違っていました。どうすればいいですか?
提出前であれば、正しい期間に揃えてください。提出後に気づいた場合は、面接の場か、担当者への連絡で訂正します。放置すると経歴の正確性そのものを疑われるため、早めに伝える方が影響は小さくなります。
出典・参考
- JIS規格の解説の様式例から履歴書の様式例が削除された時期(2020年・令和2年7月)と、厚生労働省が新たな履歴書の様式例を作成した経緯は、厚生労働省 埼玉労働局「厚生労働省履歴書様式について」によります
- 厚生労働省履歴書様式例は「ハローワークインターネットサービス|履歴書・職務経歴書の書き方」から入手できます。各欄の構成は様式例そのものをご確認ください
- 記載ルール・提出前の確認項目についての記述は、当社のキャリア相談および人材紹介の実務で用いている整理方法をもとにしたものです。公的な基準ではありません
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